burgundy street blues

ニューオリンズ・ラスカルズの河合良一さんが亡くなりました。河合さんは、George Lewisを愛して、本物に負けないとても美しいクラリネットを響かせる人でしたが、野良を初期のころから応援してサポートしてくれました。無名の野良を大阪に呼んでくれて、心斎橋のマホガニーホールで演奏をさせてくれました。当時、野良はまったく知られていなくて、大阪でジャズといえばラスカルズでしたから、一番最初にDear Old Southlandを演奏した際には、大阪のお客さんからは「ジャズを演奏しろ」と怒られたのを覚えています。河合さんは、気にせんでいいよ、いい音楽だから、ぜったい続けて、と笑顔で言ってくれました。その後も、いつも自筆の葉書を送ってくれて、そこには必ず、Keep on playin’と書いてありました。

私にとっての河合さんのすごいところは、あれだけ癖のあるスタイルを、客受けや洒落っ気の誘惑にいっさい負けることなく、いつも真正面から演奏し、心に響かせる音で美しいままに聴かせることが出来たことでした。また、他がどんな演奏をしていても、河合さんの音が入った途端に、バンドが別物になりました。偽物が沢山いる世界で、ピュアにシンプルに心に響かせることができる、髄一のクラリネット。それは私がずっと追及しているものでもあり、それを河合さんは持っていました。河合さんからは、クラはやらんの?とよく言われましたが(笑)。Burgundy Street Bluesは、河合さんが愛したGeorge Lewisの十八番で河合さんも美しい音色で良く吹いていた曲です。その域には到底まだ足りていないですが、この日は、河合さんのことを思いながら、この曲を私なりに吹きました。Keep on playin’~はい、これからも約束どおり、自分のめざす音を吹いていきます。

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