神社で、藤棚をじーっ。と見ていた。
 とっくに花の落ちたその棚からは、空豆の様に大きなさやがいくつもぶら下がっていた。
 あれはお豆よね。食べられるのかしら。でも藤?無理かな?でもどう見てもお豆。
 じーっ。
 (藤棚を剪定していた職人さんが)「ちょっとうるさくてすみませんね」
 私「いいえ、全然。それ、お豆ですか?」
 職人さん「はい、お豆です」
 私「藤ですよね。食べられますか?」
 職人さん「食べられますよ。師匠が炒って食べると言っていました」
 私「そうなんですか!初めてお聞きしました!」
 じーっ。
 職人さん「お持ち帰りになりますか?」
 私「わぁ、ありがとうございます!!」
 いくつもいただいて持ち帰った藤のお豆。大きさが分かるようにお箸と撮影。
 早速さやを剥いた。空豆のような物を期待していたら、ずいぶんかわいらしいサイズ。
 お酒のあてには、乾き物より湿り物が好きなので、炒らずにお醤油味で煮てみた。
 食べられる。ただ、うーん、えぐかった。
 やはり先人の知恵には倣うべきだったか。
 持ち帰る前、職場で皆にお豆を見せたところ、食べたがる人は誰もいなく、
 「明日出勤してくるかどうかが見物だ」と言っていた。
 元々翌日はお休みだったのだけれど、黙っていたら、
 翌日ひとしきり話題になっていたらしい。
藤棚
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