一.
オランダのブレダジャズフェスティバルで知り合ったボランティアさんから、お名刺を頂いていた。帰国したらメールするね、と言いつつ、山のように溜まっていた仕事を片付けている内に日々は過ぎ、割と経ってしまってから、不義理をお詫びしつつ、「覚えている?」とメールを送ったら、すぐに「もちろん!」と返ってきた。「君は、1時間のステージで5杯のオランダビールを飲む日本の女流ピアニストとしてここでは知られているんだ。」
二.
皆さまに野良青年団ライブ情報第35 号をお送りしたところ、いただいたレスは、「かおりさん、出産おめでとう!」と、「どうして五升甕の泡盛?」が半々くらいだった。前者の大いなる誤解については、面白いのでそのままにしておこうかしらなどと思ったりもしたが、まあ後者のご説明も兼ね、ストーリーは以下の通り。
兄夫婦に子供が産まれた。家系が家系であるし、プレゼントをお酒関係にしようというのは考えるもなく決まったが、その後が難しかった。条件は2つ。
・今年にちなんだもの
・赤ちゃんが成人する時まで大切に取っておけるもの
両方をかなえるものがなかなかない。「ビール工場で○たて出荷」などは、確かに今年産だが、20年後はきっと大変なことになっている。ワインやスコッチなどは、数年熟成されてから市場に出てくる。知恵熱が出そうなほど悩んだが思いつかず、妥協策として2人の結婚した年のシングルモルツを入手したが、そうだ、こういうことはプロの意見をお聞きしよう、と、知人であるお酒屋さんに電話をした。就業時間を過ぎているとはいえ、場所は職場、ぼそぼそと10分くらいあーでもないこーでもないと相談していたら、あ!これはどう?!と提案してくれた。「お店に泡盛の五升甕がある。これに泡盛新酒を詰めない?」
家に届いた五升(=9リットル)甕は、どう見ても一般家庭向きサイズではない、ど迫力。あげる前にまずはお毒見をしてみたところ、生まれたての泡盛は、「がつーん」と強烈だった。20年経ったらどんな味になっていることだろう。
三.
焼酎つながりで。
愛知に行った。中部国際空港の展望風呂で、飛行機の離着陸を眺めながら長い間気持ちよくふやけた後、ショッピングフロアをぷらぷらしていたところ、常滑焼をメインに並べているお店で、とても素敵な焼酎サーバーを見つけた。持って帰るには大きく、重いので、もし後日欲しくなったら、ここに連絡すれば購入できることを確認してから、作家の名前だけ聞き、東京に戻った。
改めて調べたところ、近くのデパートの「た○吉」でその作家商品の扱いがあることを知った。ところが、デパートに問い合わせ、私が見た模様を説明しても、その商品はない、同じ作家の別商品ならあるとのこと。どうしても最初に見た物が欲しかったので、後で空港のお店に電話しよう、と思っていたら、しばらくして「た○吉」の東京事務所から連絡が来た。作家に直接聞いてくれたそうで、「その模様の物は本人の所にも在庫がないが、次の窯に入れてくれる」とのこと。何だか自分のために焼いてもらえるようで嬉しかった。
今、近所の量り売りで買った芋焼酎が、先日届いた常滑焼サーバーのマイナスイオンで熟成されている。
四.
食品卸に勤める友人から、国産ワイン200種以上無料飲み放題ランチ付き、という企画に誘われた。その響きだけでもう一も二もなく参加だが、案内を見ると、1種類ずつテイスティングしては逐一 アンケートに答える、というものだった。要はマーケティングか。更に良く見ると、「日時 9:00~終日」となっている。試しに単純計算をしてみると、1種類飲んでアンケートに答えて2分×200種類=6.666時間。うわぁ。それはランチも付くわけである。
肝を据えて、会場であるその友人の会社へ行くと、ワインアドバイザーだのチェーンレストラン社長の息子さんだのフランス留学歴3年現在神戸に住んでいますがこの日のために上京しましただのワインの勉強をしたかったのですが休職制度がなかったので会社をやめてボルドーに住んでいて今帰国中です、だのという人たちがわらわらといた。「一般消費者(誰が?)としてのご意見をお聞かせください」とのコメントの後、テイスティング開始。ブラインドテストのためにホイルで覆われたボトルが、ずらっと並ぶ様は壮観。順番は白、赤、ロゼ、フルーツ。飲み込まなくても良い。もし全部飲んだら?もう1回単純計算。例えば20㏄×200種類=4000㏄。みんな、好みのだけを飲んでいた。
フルーツワインのテイスティングを終えた後、各自お気に入りのワインボトルの前に陣取って残りを飲みほし、上機嫌で帰った参加者たちのその日の晩御飯(一部抜粋):
・生ビールと枝豆と味噌ラーメン
・紹興酒と焼餃子
・赤ワインとウォッシュチーズとグラタン
マーケティングは対象を明確にね。
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