Aさんが大連に来た理由


バンドで大連に行った。着いた日にパーティで演奏、翌日は行きたい所にお連れいただき食べたい物を食べさせていただき、最終日は自由行動という、大変おいしい旅行。その分演奏でたっぷりお礼しましょう。
大連は思っていたほど寒くなく(とは言っても地面は凍っていたが)、快適。人とすれ違う時に肩を引く、とかいう江戸作法がない人ごみの中、エスカレーター登りきった所で立ち止まってじゃれているカップルの間をすり抜けながらパーティ会場に到着、皆楽器準備を始めた。こういうときピアノは楽ね。ご用意いただいていたピアノがホンキートンク気味だったり、押されたら戻らない鍵盤があったりするのはご愛敬。
そしたら。
同じくご用意いただいているはずのウッドベースがない。その代わり(?)チェロが置いてあった。
えー、どうしよう。今から調達出来ますか?でも時間ないですよね。フレットレスベースみたいにして弾く?
何とかします、との開催側の担当者と共に、ベースのAさんは楽器を貸してもらえるらしいという街なかのお店へ向かった(どなたかにお願いしてまた違う楽器が来ても何なので)。
私たちはパーティで2ステージ演奏することになっている。そんなこんなしている間に1ステ開始時間となったので、ベースレスで演奏。終了後、2ステまでは他のイベントを見ながらお食事。1000人近くにサーブされるお料理はやや冷めているが、現地料理の様で珍しい。大連名物のなまこやあわびらしき物も。嬉しい。
イベントは盛りだくさん。なーんと女子十二楽坊も出ている。
が。
彼女達の演奏が始まった途端・・・。
「当て振り?(←楽器版口パク)」
いや何というか、すぐわかります、見れば。もうちょっと気合い入れてくれても・・・。
ドラムのBさん「僕たちもやろうか、あれ」
私「そうですね、せっかくならサッチモとか流して」
Bさんはこんなお話もして下さった。
Bさん「今回ベースのAさんには気の毒だけれど、N響の有名な話思い出したよ。シンバルの人が最後の一打ちのために曲の間ずっと待機していて、いよいよ、という瞬間に、その日風邪ひいていたものだから一打ちの代わりにくしゃみしちゃって。まあ今日はもう1ステあるからこれでお務め終わりってことはないけれど。」
私「うーん、せっかくですからあとひとひねり何か起きて欲しいですね。何しに大連まで来たんだろう、僕!みたいの。」
と非常に無責任な事を言っている間にAさんが無事楽器と共に帰ってきた。
Aさん「この人数でタクシーじゃベース乗らないって言ったけれど、担当の人がOKOKって言うからまあいいや、と思ってお店に行って、『これがベース』って言ったらびっくりされた。タクシー返して2tトラック呼んでくれた」
2回目の出番となり、再度ステージ袖へ。チューニングをしていたら・・・。
「ばしっっ!」
すごい音を立てて、ベースのテールピースが剥がれた。
一同「・・・」
どうしよう、と考える暇もない。
Aさん、さすがそこは男。腹をくくってステージに立ち、楽器を構えた。
演奏開始。
Aさん、楽器をステージやや内側に向けつつ、超絶やけっぱち楽器版口パク(笑)。
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Aさんが何しに大連まで来たかって?
それは、大連仕様の3.1%キリンビール飲んだり(お写真)、麺料理屋さんの表記にウケたり(「面食屋」)、あとめっちゃおもしろい事の主人公になることじゃないかな。

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